【 第十六条 】
 生活者の為の宗教法人

役員会で計画をしてそれを実行しようとするときにも、それに参加する人々の仕事やそれぞれの家庭の事情に配慮して、その時期や内容を決めていきましょう。

組織のために人がいるのではなく、人のために組織はあるのです。一人一人の生活の安定があってこそ、寺院の安定もあるのです。

 

聖徳太子が定められた十七条憲法に一貫して流れるのは、人民に向けられた深い慈悲心、思い遣りの心です。

社会における宗教法人の存在意義は、世間に生活する人々の、心の安定のためであるはずです。

人々に必要とされるお寺でなければ、それがある必要性も無くなってしまうのではないでしょうか。

 

 

【 十七条憲法・第十六条 】

[原文]
十六曰、使民以時、古之良典。故冬月有間、以可使民。從春至秋、農桑之節。不可使民。其不農何食。不桑何服。

[書き下し文]
十六に曰く、民を使うに時をもってするは、古(いにしえ)の良き典(のり)なり。ゆえに、冬の月に間(いとま)あらば、もって民を使うべし。春より秋に至るまでは、農桑(のうそう)の節なり。民を使うべからず。それ農(なりわい)せずば、何をか食らわん。桑(くわと)らずば何をか服(き)ん。

[現代語訳]
人民を使役するには時期を選べというのは、古来の良いしきたりである。ゆえに冬の月には閑暇があるから、人民を公務に使うべきである。しかし春から秋にいたる間は農繁期であるから、人民を公務に使ってはならない。農耕しなければ食することができないし、養蚕しなければ衣服を着ることができないではないか。

[英語訳]
16. People should be employed in forced labor in suitable seasons. This is a good rule of antiquity. People should be employed in winter months when they are free, and they should not be employed from spring till autumn when they engage in agriculture and sericulture. Without agriculture, what would we eat ? Without sericulture, what clothes would we wear ?

出典:中村元 著『 聖徳太子 地球志向的視点から 』(東京書籍)THE SEVENTEEN-ARTICLE CONSTITUTION by Prince Shoutoku Translated into English by Hajime Nakamura

 

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大乗在家仏道六徳目

 

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