十七条憲法を6つの徳目に要約し、
六波羅蜜の教えに重ねて意訳しました。

 

① 智・智慧 識るべきことを識る

私たちはみな、自己中心的な執着心から離れられないでいます。けれどもまた、真心こそが大切であることも、どこかで気づいているはずです。仏教には自然の道理が説かれています。仏教に学び、真実信心の気づきを深めていくことで、多様性のある寛容で調和した世界を、いつかはかならず現ずることができるはずです。

 

② 義・精進 為すべきことを為す

どんなひとにも同等に、仏と成るための資質が、それぞれに与えられています。かけがえない自分の人生のなかで、他者と比べることなく、与えられた役割に務め、自分なりに日々の精進を重ねていきましょう。お互いに励まし合って、よりよく成長して生きましょう。

 

③ 信・布施 思い遣りの心で

心に偽りなく、誠実さを忘れず、お互いに信頼しあえる人間関係を築いていきましょう。他者のために進んで行うことは、自分のためにもなることです。自分勝手な思いに執われることなく、他者への思い遣りの心を育んでいくことは、日常生活のなかで取り組む、自分自身の修行なのです。

 

④ 礼・持戒 よい習慣を身に着ける

身勝手な思い込みで、人を羨(うらや)んだり、妬(ねた)んだり、憎んだり、怒ったりするべきではありません。我欲のままに生活をしていると、あっという間に人生は終わっていきます。自らの分限・分際を知って、他者との関係に礼儀や節度を守りながら、共によい生活習慣を身に付けるようにしましょう。

 

⑤ 仁・忍辱 生きることを諦めない

人は一人では生きていけないものです。必ず他者との関わり合いのなかにあります。人それぞれに思いがあるのですから、自分の思いのままに生きられるわけではありません。世間を生きることの困難に耐え忍ぶことは必要です。お互いに思い遣り合って、良いことも悪いことも、共に乗り越えていきましょう。

 

⑥ 徳・禅定 落ち着いて調和を保つ

人と人との間にあって、心身と言動の安定に、意識を向けていることが肝要です。平和であることを、永久普遍で世界共通の目標として、それぞれに異なっていることをお互いに認め合いましょう。よりどころとするべき自然の道理は、仏教に示されています。落ち着いて、聞く耳を持って、話し合うことを続けましょう。