私訳 絵解き・二河白道 – ひかりといのちの道を往く

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南無阿弥陀仏は不思議だ

これまでと変わらず生きているはずの自分なのに

いつのまにか 

これまでとは違った見方で 世界を見るようになっている

 

自分でそうしようと思って そうなったわけではない

南無阿弥陀仏と口にしているうちに 

そのように見えてきたとしか 言いようがない

 

 

これまでの私は 自分の思うようになればいいと 思っていた

あたりまえのように そうとしか思っていなかった

 

ところがどうだろう 

欲しいと感じるものを もっと欲しいと思っているうちに

心にざわめく”欲”の水は 次第に波打ち 大きくなって

 

 

手に入らないことのもどかしさに 

せつなく身悶えていられるうちは よかったが

 

やがてその波は 大波になって 荒れ狂い 

私とすべてを 呑み込もうとする

 

 

 

私がそうしたいと思ってることを

そのようにはさせないとするものがあれば

私は面白くない 

邪魔くさい むかつく 腹がたつ

 

自分にとって都合のよい人を 私は好む

自分にとって都合のわるい人のことを 私は嫌う

 

自分を好意的に思ってくれる人のことを 私は好きだ

けれども 自分を悪く言うひとには あからさまに 嫌悪

 

しまいには 怒り出す 

怒鳴り 叱責 罵倒する ことさえある

 

 

心に燻りはじめた“怒り”の火は 私の心のなかで燃えうつって

それがやがては捲き上る炎となって 

私とすべてを焼き尽くそうとする

 

普通の火であれば 水を掛ければ 消せるし 

普通の水であれば 火で熱せれば蒸発して 消えてしまうはずだ

 

ところがどうだろう 欲望の水と 激情の火は

互いを煽って止むことなく その勢いを増すばかり

 

目の前に迫る火と水から

到底 逃れられそうにない

 

 

それはそうだ 

私の心のなかにある 

火であり 水なのだから

 

 

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