東京から富山に帰郷したのは、今からちょうど10年前、1998年の年の暮れでした。渋谷の夜の雑踏と光と音の洪水に慣れきっていた私たちに、岩瀬の夜の景色はあまりにも寒々として、異国の場末の町に来たかのように、暗かった。その頃の岩瀬町は絵に描いたように演歌の似合う寂れた港町。結婚したばかりだった私たち二人の新居は、古びれた木造建築が軒を並べる「岩瀬大町通り」に重いシャッターを下ろす二階建て鉄骨造りの空倉庫でした。

その当時には誰も予想しなかったであろう展開で、現在の岩瀬町は富山ではちょっとした話題の町。ライトレールという最新式の路面電車が開通して、大町通りの景観も最近流行りの町並み再生事業で大変身し、あれよあれよのうちに観光客が訪れるような観光スポットみたいになってしまったのです。現在の住まいである新しい「慶集寺会所」に引っ越しした後、空家になった元の住居をリフォームして、この春完成したのが「慶集寺 琳空館」です。

「慶集寺会所」も「慶集寺 琳空館」も、友人たちの営む会社「有限会社 オリス」にお世話になって改築してもらいました。オリスの仕事には他には無い創意工夫があって、ビジネスを越えた誠意と熱意でこちらの要望に応えようとしてくれます。私、慶集寺住職がこの会社のファンであることで、寺院施設に関わる改築工事の一切を任せることにさせていただいたのですが、門信徒の皆様にも完成した建物の仕事を見ていただければ、これに納得していただけるはずだと思っております。

実際にこれら2つの新しい慶集寺施設は、多くの人々が訪れ、さまざまな出会いを生み出すパワースポット!ミステリースポット?として今も成長していると思うし、岩瀬の町づくりにもちょっとは貢献してるはず、と思うのです。

場所があれば何か起こる。いい場所にはいい出会いが生まれる。
それが私、慶集寺住職の信条です。

ご縁ある仲間と一緒に、門信徒の皆様と一緒に、
いい場所づくり、いい寺づくり、いい町づくりをしていきたいと、
思っております。