慶集寺通信6号より転載

慶集寺住職より、
今ある社会を築いてくださった70代80代90代の門信徒の皆様へ
現代の社会を支えて働く40代50代60代の門信徒の皆様へ
これからの社会を担う10代20代30代の門信徒の皆様へ
ご家族でお読みください。

風薫るさわやかな新緑の季節となりました。いつもお世話になっております。
私が東京での十年間の生活を終えて富山に帰省し、僧侶として慶集寺に入り、もう十年の月日が経ちました。そして先代より住職を継職して四年半。長男も私の住職としてのキャリアと同じく四歳半で、長女は今春、小学校に入学いたしました。

自分自身を取り巻く環境や状況も変わりましたが、日本の社会全体もこの十年間、この数年間で、大きく変容したように思います。日本の美徳とされてきた精神性は、物質面の偏重や過度の情報化とともに軽視される傾向にあり、時代の流れのともに、かつては当然とされていた習慣や制度も、いまや次第に失われつつあります。日本の社会がこれから向かうべき方向性は未だ見えぬまま、昨今の大不況時代の到来とともに、何を依りどころとしてこれからを生きていけばよいのかと、多くの人が迷っているようにも思われます。

けれども、このような出口の見えない閉塞感の中でこそ、寺院の果たすべき社会的な役割が立ち現れてきていると、私には思われます。宗教法人である寺院は、門信徒の皆様や地域社会とともにあるコミュニティー(共同体)であり、公共的公益的な、社会に開かれた場所としてあるべきです。閉塞的な機構や教義に凝り固まることなく、和を以て尊しとする交流の場となり、人々の心の依り所となり、明るい未来の発信基地となってこそ、寺院の持つ潜在的な可能性は発揮され、仏教の教えが活き活きと人々に伝わり、これからの行くべき道を明るく照らし出すものと、私は思います。

年代を問わず、現代人にとっては敷居が高くなってしまった仏教寺院なのかもしれませんが、いまこそ自坊慶集寺は、多くの方々にお寺を身近な場所と感じていただきたいと思い、新たな試みを始めております。

近年の町並み再生事業に伴い大きく景色を変えた岩瀬大町通りに「慶集寺 琳空館」という、これからの寺院活動の拠点を構え、さまざまな文化的社会的な活動を展開し、環境問題や平和運動の取り組みや、音楽、ヨガ、食文化などの活動にもその場を提供しております。まだまだ始まったばかりの試みですが、多くの人々がそこで出会い、交流するご縁の場として、いまも日々成長しているところです。

さしあたり間近にある琳空館での行事といたしましては、恒例の花祭りが5月10日に開催されます。現住職が取り仕切らせていただくようになって5回目を数える花祭りですが、回数を重ねる毎に参加者や協力者の方々とのご縁は広がり、その規模も次第に大きくなってきています。日頃よりお寺参りに親しんでいただいている方々だけではなく、子供たちやその親の世代、そしてその親の世代にも気軽にお寺にお参りいただきたいと思い、家族みんなで楽しむことができるような音楽イベントとして、その趣旨に賛同していただいた方々とともに、現在準備を進めております。

どうかこの機会に、慶集寺を自らの参加する社会的なコミュニティーとして見直していただき、
多くの門信徒の皆様のご支援とご参加を、心より願う次第でございます。

私たち、住職と坊守は、
「リンクエイジ(LinkAge)」と題したホームページを
これまで十年間に渡って運営して参りましたが、
この名前は「リンケージ(連帯、連関、連携)」を表すとともに、
「リンク(つながる)+エイジ(世代)」を意味するものであり、
それは、絶えることの無い善きご縁の世代間相続を念願した、
未来に向けての前向きな思いを込めた名付けであります。

LinkAge >>> http://www.link-age.or.jp

先人から受け継いできた、慶集寺という素晴らしい寺院と南無阿弥陀仏のお念仏の声を、
これからを生きる子供たちの世代へと伝え、未来永劫引き継がれていくよう、
その代表を任されている私、住職から率先して、
その役割を精一杯に勤め果たさせていただく所存でございます。
すべての世代の門信徒の皆様方、今後ともよろしくお願い致します。
感謝、尊敬、合掌。 南無阿弥陀仏

                      琳空山 慶集寺 十八代 住職 釈朋弘