2014年も残すところ、あともうわずかになってきました。

私、慶集寺住職にとっては、先代である父を亡くした年でもあって、
状況と心境の変化が自然ともたらされた、人生の節目の年になったように思います。

先日11月13日、世界的なジャズピアニストとして知られる山下洋輔氏が、
ライブ出演の為に富山を訪れられた際に、父へのお弔いにと、
慶集寺にご参拝くださいました。

私の実姉は、京都で『RAG』というライブハウスを経営しており、
山下氏とは二十年来のお付き合いをさせていただいているとのことで、
姉にとっては「人生の恩師」にあたる方。

姉が立案、製作した『慈愛LOVE』という作品では、
僧侶の声明に併せたピアノの即興演奏で参加してくださっていて、
その製作過程においては、姉にとっての精神的な支えとなってくださったということです。

『慈愛LOVE』のプロジェクトが展開して、
今年の3月にパリの日本文化会館でのコンサートを行った際には、
姉の娘、私の姪にあたる藤蔭静煌(須田あさひ・中央)が、
山下氏の作品「輪」をテーマとして、
藤蔭静樹師匠(左)に振付をしていただいた日舞作品の披露もありました。
http://youtu.be/_DthNzm1nzA

人はその生涯を終えた後にも、人と人とをつなげるご縁として、
おかげさまの力として、活動し続けるものなのかもしれません。


CDジャケットにある「慈愛」の文字は、姉からの依頼を受けて父が筆をとったもので、
パリ公演のステージでも、スクリーンに大きく映し出されたそうです。

「慈愛」とは、親が子供を慈しむような、深い愛情をいいます。

 西洋的にいうならば「アガペー(神からの愛)」

 東洋的にいうならば「慈悲心(仏の慈しみ)」と言い換えられるかもしれません。

山下氏は、声明を聞きながらの即興演奏をするにあたっての感想を

「お釈迦様の掌の中で、存分に遊ばせてもらいました。」と語っていらっしゃいます。

とても意味深い、味わいの深いお言葉だと思います。

私たち一人ひとりの、

存在や計らいや営みをはるかに超えた、

大いなる「はたらき」が、

私たちのすべてを包み込むようにして、

私たち一人ひとりに施されていることを感じます。

生かされて、生きている。

願われて、活かされている。

いつも、見護られている。

人生を、存分に遊んでいいのだと思います。

自分らしく、精進を続ければいいのだと思います。

いまはすでに仏と成って、私たちを照らし、

護ってくれているであろう父に手を合わせ、

今年あったさまざまな出遇いを憶いながら、

2014年に残された時間を、

心静かに過ごしたいと思います。

いつも、ありがとうございます。 

来年も、よろしくおつきあいください。

感謝 尊敬 合掌  

南無阿弥陀仏