慶集寺琳空館の2階は、写真家・石黒健治氏の作品を展示するフォトギャラリーの空間になっています。

夏季期間中は、琉球の島々のさまざまなすがたをうつし撮った写真群『琉球弧物語抄』を展示しています。

 

 

写真家 石黒健治 Kenji Ishiguro
1935年福井県生まれ。1959年桑沢デザイン研究所修了。同年、写真協会新人奨励賞受賞。主な写真展に「不幸な若者たち」「ナチュラル」「シアター」「夫婦の肖像」など。写真集は『沸騰時代の肖像 PORTRAITS OF THE 60S』『高倉健写真集・健さん』『広島HIROSHIMA NOW』『ナチュラル』『不思議の国』など。そのほか、ミステリードキュメント『サキエル氏のパスポート』を出版。また、映画『人間蒸発(今村昌平監督1967年作品)』の撮影監督、『無力の王』(東映セントラル)では監督を担当した。写真ワークショップ「真眼塾」塾長。

2018年富山市ガラス美術館ギャラリーにて、慶集寺住職・河上朋弘の言葉と写真のコラボレーションで『アミタ-ひかりといのち-』を発表。

2016年より撮影を続けてきた富山市東岩瀬町と慶集寺の変遷の記録を、河上朋弘の編集により作品化し、2020年インターネット公開予定。

 

 

力強い紺青を輝かせていた海が、
しだいに甘いミルクブルーに姿を変えていきます。
空を、音もなく雲が流れています。
目を移すと、一瞬、海は悲しみに満ちた暗緑色に沈んでしまう……。

長い時間、海を見ていました。
海の彼方から、かすかな生きる希望と明るい死の約束が、交互に、静かな潮騒に乗って運ばれて来るのを感じます。
いまはもう、この海と空の交わる先のニライカナイへのあこがれを押さえることなどできません。

豊かな世(ユ)をくれるニライカナイは、同時に「根の国、黄泉の国を意味する幻想空間であり、祖先神のいるところ、死者の行くところ(外間守善氏)」なのです。

「琉球弧物語抄」は、谷川健一先生の著作『琉球弧の世界』をほとんど唯一の教科書として撮影してきました。琉球弧といっても、宮古諸島と、石垣島、竹富島、西表島など八重山の一部だけの取材です。いつの日か、『琉球弧の世界』を「琉球弧物語」として完成させたいと、たぶん果たせぬ夢だと思いながら……。(琉球弧とは、九州の南から奄美、沖縄、宮古、八重山、台湾に連なる島列の弧をいいます)。                                


宮古島 平良にて  石黒健治