【第七条】人には、おのおのその任務がある。職務に関して乱脈にならないようにせよ。賢明な人格者が官にあるときには、ほめる声が起こり、よこしまな者が官にあるときには、災禍や乱れがしばしば起こるものである。世の中には、生まれながらに聡明な者は少ない。よく道理に心がけるならば、聖者のようになる。およそ、ことがらの大小にかかわらず、適任者を得たならば、世の中はおのずからゆたかにのびのびとなってくる。これによって国家は永久に栄え、危うくなることはない。ゆえに、いにしえの聖王は官職のために人を求めたのであり、人のために官職を設けることはしなかったのである。 

 

 人にはそれぞれ、人生のお役目があるのだと思います。自分の役割を見つけて、それに向き合うことに人生をかけられた人は、きっと「幸せ」なのだと思います。

 幸せという言葉は「仕合わせ」と書かれることもあるようです。仕える者と仕われる者との組み合わせがよいと「仕合わせ」だということでしょうか。「和」の一文字は「かなう」と読むこともあるようです。人それぞれの役割が道理にかなっていることで、人々の仕事が合わさって、共に幸せになれるということでしょうか。

 自分と他者の役割を見極めて、分限や分際をわきまえながら協働することは、大事なことです。人と比べることなく、今自分に与えられている役割に精一杯に努めるなら、どんな人でも少しずつでも成長できるはずだと、聖徳太子は説かれています。

 適材適所で人材を登用することができるように、人それぞれの長所と短所をよく見て、その人の持ち味が活かされるように、重要な役職にあるものから自己鍛錬に努めなさいと、聖徳太子は奨励されています。

 役に立つということは、役割が際立っているということかもしれません。みんなが幸せに暮らせる社会とは、かけがえない自分の役割を勤めることで、誰かの為になることができるような、様々な仕事が共存するようなあり方なのだと思います。

 

 

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